WISC-Ⅳ(ウィスク検査)とは?大人も受けられる知能検査の内容・メリット・デメリットを解説

WISC-Ⅳ(ウィスク)検査は、単にIQ(知能指数)という一つの数値を知るためだけのものではありません。子どもの思考力、知識、作業の速さといった、知能を構成するさまざまな側面を客観的に把握できる心理検査です。

こうした知能検査にはいくつか種類がありますが、WISC-Ⅳを含む「ウェクスラー式知能検査」は、年齢に応じた評価ができる世界的に標準化された検査法です。

本記事では、そのウェクスラー式知能検査の全体像を押さえた上で、WISC-Ⅳの概要や対象年齢を詳しく解説していきます。さらに、「大人が受けたい場合はどうなるの?」と悩んでいる方に向けて、成人向けの知能検査(WAIS)についてもご紹介します。

子ども、そして自分の特性をより深く理解し、適切なサポートや関わり方を知りたい方は、ぜひ参考にしてくださいね。

目次

ウェクスラー式知能検査とは

ウェクスラー式知能検査とは、アメリカの心理学者デヴィッド・ウェクスラーによって開発された、年齢に応じた知能評価を行うための心理検査の総称です。
代表的な検査には、以下の3つのシリーズがあります。

  • WPPSI(ウィップシー検査):幼児向け(2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月)
  • WISC(ウィスク検査):児童向け(5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月)
  • WAIS(ウェイス検査):成人向け(16歳〜90歳)

これらはいずれも、「言語理解(VCI)」「知覚推理(PRI)」「ワーキングメモリー(WMI)」「処理速度(PSI)」という4つの主要な能力をもとに、全体の知能指数(IQ)を測定する点が共通しています。

ウェクスラー式の最大の特徴は、単なるIQスコアだけでなく、個々の認知特性や得意・不得意のバランスを明らかにできる点にあります。そのため、教育現場や医療、発達支援、キャリア相談など幅広い分野で活用されています。

以下では、このシリーズのうち「WISC-Ⅳ(ウィスク検査)」について詳しく解説していきます。

WISC-Ⅳ(ウィスク検査)とは

ここでは、WISC-Ⅳ(ウィスク検査)の概要や対象年齢について解説していきます。

WISC-Ⅳ(ウィスク検査)の構成と評価領域

WISC-Ⅳ(ウィスク検査)は、「全検査IQ(FSIQ)」という総合的な知能指数を算出します。これは、下記の4つの主要な指標の結果をもとに導かれます。

  • 言語理解指標(VCI):言葉で考え表現する力
  • 知覚推理指標(PRI):目で見た情報から論理的に考える力
  • ワーキングメモリ指標(WMI):情報を一時的に記憶しながら作業する力
  • 処理速度指標(PSI):簡単な視覚情報を素早く正確に処理する力

この4つの指標を比較することで、子どもの認知能力のバランスを具体的に把握でき、総合的なIQだけではわからない個々の特性を理解できます。

例えば、言語理解は高いのに処理速度が低い場合、話はよく理解できるけれど、黒板の文字をノートに写すのに時間がかかるなどの困難さが推測できます。

このように、各領域のバランスを見ることで、子どものつまずきの原因を探り、具体的な支援策を立てやすくなるのです。

WISC-Ⅳ(ウィスク検査)は16歳11ヶ月までの人が対象

WISC-Ⅳ(ウィスク検査)は、児童を対象とした検査で「5歳0ヶ月から16歳11ヶ月まで」の人が受けられます。WISC-Ⅳ(ウィスク検査)は、発達段階に合わせて問題が標準化されているため、対象年齢が厳密に定められているのです。

なお、5歳未満の子どもには、幼児向けの「WPPSI(ウィップシー検査)」があり、すでに前述したWISC(ウィスク検査)やWAIS(ウェイス検査)とあわせて、ウェクスラー式知能検査は年齢に応じたシリーズとして体系化されています。

大人が知能検査を受けるなら「WAIS(ウェイス検査)」が一般的

大人が受ける知能検査では、同じシリーズの成人版である「WAIS(ウェイス検査)」が一般的です。WISC-Ⅳ(ウィスク検査)と同様に、医療機関やカウンセリング機関で受けられます。ここでは、WAIS(ウェイス検査)の概要や、メリット・デメリットについて見ていきましょう。

WAIS(ウェイス検査)とは

WAIS(ウェイス検査)とは、16歳から90歳までを対象とした、成人向けの知能検査です。

WAIS(ウェイス検査)もWISC-Ⅳ(ウィスク検査)と同様に、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つの指標から総合的な知能(全検査IQ)を算出します。

この検査を通じて、下記のような思考の癖や得意・不得意を具体的な数値で把握することができます。

  • 話を聞きながらメモを取るのが苦手→ワーキングメモリーが低い可能性
  • 段取りを立てて物事を進めるのが苦手→知覚推理や処理速度が関係する可能性

つまりWAIS(ウェイス検査)は、大人が自分自身をより深く理解し、仕事や日常で感じる生きづらさの正体を明らかにするための、手がかりとなる検査といえるでしょう。

WAIS(ウェイス検査)のメリット・デメリット

WAIS(ウェイス検査)を受けるメリットWAIS(ウェイス検査)を受けるデメリット
・自己理解が深まり、生きづらさの理由が明確になること
・悩みに対して具体的な解決策を立てられること
・得意な能力を自覚することで仕事や環境を選びやすくなること
・自主的に受ける場合は数万円程度の費用がかかる
・結果の受け止め方によって精神的も負担を感じる可能性がある

WAIS(ウェイス検査)の大きなメリットは、漠然とした悩みが客観的なデータで説明されることで、具体的な解決策を立てたり、自分が進む道を選びやすくなったりすることです。

例えば、ワーキングメモリーの能力が低いと判明した場合、仕事ではメモを徹底したり、一度に複数の指示を受けるのを避けたりといった対策を立てやすくなるでしょう。

一方、WAIS(ウェイス検査)を受ける際のデメリットには、主に「費用の問題」と「結果の受け止め方による精神的な負担」の2点が挙げられます。

検査結果によっては、自分の不得意な部分と向き合うことになり、ショックを受けたり、自信をなくしてしまったりする可能性もゼロではありません。

精神的な負担を軽減するためには、検査を受ける目的を明確にしておくことが大切です。「自分の特性を理解して、今後の生活に活かしたい」という前向きな目的があれば、たとえ低い数値が出たとしても、改善点として捉えやすくなるでしょう。

検査結果を活かすためにも、結果は必ず専門家からのフィードバックと共に受け、一人で抱え込まないことが重要です。

大人の知能検査を受けたい方は東京ハブクリニックへ

東京ハブクリニックでは、次の2つの知能検査パッケージを用意しています。

①自己理解パッケージ

・フルWAIS(ウェイス検査)+ 丁寧な解釈セッション
・鴨下一郎医師によるパーソナル・コンサルティングなど

②発達傾向・ADHD 探索パッケージ

・フルWAIS(ウェイス検査)+公認心理士によるフィードバック
・カウンセリング・診察・公認心理士の紹介などのオプションあり

東京ハブクリニックでは、検査結果が日常生活や仕事における「強み」と「つまずきやすいポイント」とどう関係しているのかを、ていねいにフィードバックします。

「自分の苦手・得意を客観的に理解したい」という方は、ぜひ一度相談にいらしてくださいね。

>>東京ハブクリニックへの相談はこちら

まとめ

  • WISC(ウィスク検査)は、5歳0ヶ月から16歳11ヶ月まで」の人を対象とした知能検査。検査IQ(FSIQ)に加え、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」の4つを比較することで、認知能力のバランスを具体的に把握できる。
  • 17歳以上の大人が行う知能検査は、同じシリーズの成人版である「WAIS(ウェイス検査)」が一般的。WISC(ウィスク検査)と同様に、4つの指標から総合的な知能(全検査IQ)を算出する。
  • WAIS(ウェイス検査)はメリットだけでなく、自分の不得意な部分と向き合うことで、精神的に負担を感じるデメリットもある。検査結果を前向きに捉えて活かすためには、検査を受ける目的を明確にし、専門家からフィードバックを受けることが大切。

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東京ハブクリニック 院長紹介

鴨下

鴨下 一郎 1949年東京生まれ。心療内科医・医学博士。旭日大綬章受章。 1979年日本大学大学院医学研究科博士課程修了後、呼吸器疾患の診療に従事する中で身体的な症状の背景に潜む心の不調や精神的ストレスに着目し、心療内科の道へ。 32歳でクリニックを開業。心療内科医として、心の病気の診療にあたる。 「現代の心の病を治すには、まず社会病理を直す必要がある」と政治の世界を志し、1993年衆議院議員初当選。以後連続9回当選し、環境大臣、厚生労働副大臣、内閣官房参与(健康・医療戦略)等を歴任。「心療内科」の認可や公認心理師制度の推進などにも携わる。 2024年、「東京ハブクリニック」を開業。男性更年期障害の診察に力を入れている。 メディア出演、著書多数。

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