境界知能とは?特徴・診断・テスト方法・発達障害との違いも解説

「人との会話がなんとなく噛み合わない」
「計画を立てるのが極端に苦手」
こうした生きづらさは、もしかすると境界知能に起因しているかもしれません。

境界知能とは、知的障害には該当しないものの、平均的な知能指数(IQ)よりもやや低い知能指数をもつ状態を指します。

「病気」や「障害」として明確に定義されていないため、支援や配慮の対象外となりやすいのが特徴です。

この記事では、境界知能の特徴から、発達障害との違い、そして自身の特性を知るための診断・テスト方法について、専門的な観点から分かりやすく解説します。

目次

境界知能とは

「境界知能」は知的障害と平均知能の間に位置する知能指数(IQ)をもつ状態を指します。
病名や医学的な診断名ではなく、知能検査の結果を示す分類の一つです。

ウェクスラー式知能検査などにおける知能指数(IQ)の平均は100とされています。
「知的障害」がIQ70未満で定義されるのに対し、「境界知能」はIQ70〜84の範囲にあたるとされています。

知的障害の基準には当てはまらないため、公的な福祉サービスの対象になりにくい一方で、平均的な知能指数をもつ人たちの中では、さまざまな場面で困難を感じやすいのが特徴です。

このグレーゾーンに位置することが、周囲から「努力が足りない」「空気が読めない」と誤解され、生きづらさにつながる原因となっています。

境界知能は何ができない?症状の特徴

「境界知能」の大人は、抽象的な理解や臨機応変な対応が苦手です。
仕事や対人場面では下記のような特徴が見られることがあります。

仕事面での特徴

  • 指示内容を一度で理解できない
  • マニュアルのない応用的な作業が苦手
  • 複数のタスクを同時にこなすことが苦手
  • 優先順位をつけられず段取りが悪い

対人面での特徴

  • 相手の意図や空気を読むことが苦手
  • 会話が噛み合わない
  • 冗談や皮肉が通じず誤解を生む

生活面での特徴

  • 役所の手続きや家計の管理でつまずく
  • 物事を計画的に進めるのが苦手
  • 場当たり的な行動になる

境界知能であっても、自身の得意な分野で能力を発揮している人は存在します。
しかし、上記のような困難さが目立つ場合、周囲の理解や環境の調整が重要です。

境界知能の診断・テスト方法

境界知能かどうかを判断するためには、精神科や心療内科、専門のカウンセリング機関などで知能検査を受ける必要があります。

代表的な知能検査には「ウェクスラー式知能検査」が挙げられます。

ウェクスラー式知能検査の種類

ウェクスラー式知能検査には、下記のように年齢によって受けるテスト内容が分類されています。

・WPPSI(ウィプシー):2歳6ヶ月~7歳3ヶ月の子供
・WISC(ウィスク):5歳0ヶ月~16歳11ヶ月の子供
・WAIS(ウェイス):16歳0ヶ月~90歳11ヶ月の大人

この知能検査は、IQの数値だけを出すのではなく、「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリー」「処理速度」という4つの側面から、自身の知的な能力のバランスを分析します。

ただし、「境界知能」は病気や障害ではないため、医師から「境界知能です」と診断されるわけではありません。あくまで検査結果としてIQの数値と、自身の認知特性の偏りが示されることを理解しておきましょう。

境界知能と発達障害の違い

境界知能が「知能指数(IQ)の位置」を示すのに対し、発達障害は「得意分野の偏り」を指します。

発達障害は、IQの数値に関わらず、対人コミュニケーションの特性や、不注意・多動性といった生まれつきの脳機能の偏りによって定義されます。そのため、平均以上の高いIQをもつ発達障害の人も存在するのです。

発達障害には主に下記のような種類があります。

  • ADS(自閉スペクトラム症)
  • ADHD(注意欠如多動症)
  • LD(学習障害)

また、境界知能の人が、発達障害の特性を併せもっているケースも少なくありません。例えば、境界知能であり、かつADHDの特性もある場合、社会生活での困難さがより大きくなる可能性があります。

どちらの特性による困難さなのか、あるいは両方が影響しているのかを正しく理解するためにも、専門機関での詳細な検査が重要になります。

境界知能や発達障害について相談したいを人は東京ハブクリニックへ

「境界知能かもしれない」「発達障害と関係があるのかも」という悩みは、ご自身で何とかするのではなく専門の医療機関に相談することが大切です。

東京ハブクリニックでは下記のようなパッケージを通じて、自身の認知特性を客観的に理解するためのサポートをしています。

①自己理解パッケージ

  • フルWAIS(ウェクスラー成人知能検査)
  • 丁寧な解釈セッション
  • 鴨下一郎医師によるパーソナル・コンサルティングなど

②発達傾向・ADHD 探索パッケージ

  • フルWAIS(ウェクスラー成人知能検査)
  • 公認心理士によるフィードバック
  • 鴨下一郎医師によるパーソナル・コンサルティングなど

自身の得意・不得意を活かした環境の調整や、生きづらさを軽減するためのサポートをしています。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽に東京ハブクリニックまでご相談ください。

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まとめ

  • 「境界知能」は知的障害と平均知能の間に位置する知能指数(IQ)をもつ状態を指す。
  • 障害や病気ではないため診断名はつかない。そのため公的な福祉サービスの対象になりにくく、平均的な知能指数をもつ人たちの中では、さまざまな場面で困難を感じやすいのが特徴。
  • 境界知能は「知能指数(IQ)の位置」を示すのに対し、発達障害はIQの数値ではなく「得意分野の偏り」を指す。

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東京ハブクリニック 院長紹介

鴨下

鴨下 一郎 1949年東京生まれ。心療内科医・医学博士。旭日大綬章受章。 1979年日本大学大学院医学研究科博士課程修了後、呼吸器疾患の診療に従事する中で身体的な症状の背景に潜む心の不調や精神的ストレスに着目し、心療内科の道へ。 32歳でクリニックを開業。心療内科医として、心の病気の診療にあたる。 「現代の心の病を治すには、まず社会病理を直す必要がある」と政治の世界を志し、1993年衆議院議員初当選。以後連続9回当選し、環境大臣、厚生労働副大臣、内閣官房参与(健康・医療戦略)等を歴任。「心療内科」の認可や公認心理師制度の推進などにも携わる。 2024年、「東京ハブクリニック」を開業。男性更年期障害の診察に力を入れている。 メディア出演、著書多数。

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